英語のことわざ
A drowning man will clutch at a straw.
溺れる者は藁をもつかむ。
昔の話ですが、私が20代前半のころ友達と千葉の海に行った時の話です。
季節は海開き前の6月中旬だったと思いますが、なぜか海岸にはたくさんの人が出ていたことを憶えています。もちろんまだ暑くはないので誰も海に入っていません。泳ぎに自信があった友達と私はかっこよい所を見せる意味もあって海に入って行きました。
私たちは気持ちよくすいすいと泳ぎ、気づいてみたら海岸から1km位離れた沖まで来てしまいました。どうも潮の流れが速く、どんどん沖の方に流されていく感じなのです。これはやばいと感じた私は友達の方は見向きもせず、岸に向かって泳ぎ出しました。
しばらくして後を見ると、友達も必死になって私を追いかけてくるのです。彼は「溺れる者は藁をも掴む」といったものすごい形相で、これに捕まったら2人とも一貫のお陀仏。絶対に彼につかまれてはならぬと私は今までより輪をかけてありったけの力を振り絞って岸に向かいました。
2人とも何とか無事に泳ぎきりましたが、ほんの2,30分のことが数時間のことのように感じられました。岸に上がると友達は薄情な奴だなと私を詰りましたが、あの「溺れる者は藁をも掴む」といった彼の形相が私達2人を救ってくれたのでした。
[意味]
溺れかかっている人は水面に浮かぶ1本のわらにも縋ろうとする。人間は危急の際には苦しみのあまり何にでも頼ろうとする。
[出典]
Any port in a storm. (嵐の時の港はどこだっていい)
The danger past and God forgotten (危険が去れば神を忘れる)
ちょうど反対にしたのが「苦しい時の神頼み」ですね!
[語句]
drown 溺れ死ぬ
clutch 掴む、車のクラッチ
この諺はclutchではなく、catchで憶えていたように思います。
straw 藁
[例文]
"I've tried everywhere I can think of, but nobody seems to stock spare parts for this old car", said Mike.
"What about that junk-dealer, in Main Street?", suggested his friend. "I'm not saying it's at all likely, but he may have what you want."
"I'll shoot around and see him now!", cried Mike, clutching at a straw.
「考えられる全部をあたってみたんだけど、この車の備品のストックはどこにもないようだ。」とマイクは言った。
「メインストリートの廃品回収業者はどうだい。絶対あるってわけじゃないけどあたってみたら。」と友達はほめのかした。
「早速行って彼に会ってみるよ。」と藁をも掴む思いでマイクは叫んだ。