実践英会話教室26
謙虚すぎる英雄たち
iPS細胞を発見した京都大学の山中伸弥教授が今年のノーベル医学・生理学賞を受賞しました。受賞会見では、「政府が援助してくれたからこそ成し遂げられたもので、日本が受賞したのだ」と述べていました。英語ではこのように書かれました。
"Yamanaka said the winner of the prize should be Japan as a country."
自分一人の功績ではない、というこのコメントで思い出されるのは1969年、人類初の 月面着陸を成功させ、今年8月に82歳で亡くなったアメリカの宇宙飛行士、ニール・ アームストロング氏です。彼はアメリカの英雄となったにもかかわらず、それを鼻に かけずいつも目立たないようにしていたそうです。彼の訃報を伝えたキャスターは彼のことを ”reluctant American hero” と呼びました。
しぶしぶの、という意味です。彼が積極的に人前に出なかったことを表しています。
後輩宇宙飛行士のユージン・サーナン氏は彼についてこう述べています。
“Neil considered that he was just the tip of the arrow, always giving way to some 400-thousand equally committed and dedicated Americans, Americans who were strength behind the bow.”
「ニールは、自分は弓矢の矢の先端に過ぎないと思っていた。月面着陸成功のための矢を放った弓の力の源である、彼同様に心血を注いだ40万人あまりの人々に常に 道を譲っていた。」
サイエンスの世界で歴史を塗り替えた山中教授とアームストロング船長の2人は、謙虚さでも共通しています。“tip of the arrow”と”strength behind the bow”。
使えそうな表現ですが、使うためにはまず成功を収めなければいけませんね。