実践英会話教室22
シャーリー・マクレーンの「私がもらって当然」
芥川賞を受賞した田中慎弥さんが受賞の感想を聞かれ、「シャーリー・マクレーンがアカデミー賞をもらった時、『私がもらって当然だ』と言ったが、大体そんな感じ。4回も落とされて断るのが礼儀だが、私は礼儀を知らないのでもらってやる」と発言し、話題になりました。田中さんもシャーリー・マクレーンと同じく、5度目のノミネートでの悲願達成です。
謙遜を美徳とする日本ではやや言いにくい言葉、「私がもらって当然」は英語では何というでしょうか。
" I should get it. ( 私が獲るべきだ ) "?あるいは " Of course, it's me! (もちろん私だ) " でしょうか。
しかしこれだと日本語の表現よりさらに「私が私が」という印象が強くなってしまいます。シャーリー・マクレーンがそんなことを言うとも思えません。そこで本人が実際に何と言ったかを調べると、答えは " I deserve this." でした。
「私がもらって当然」とも訳せますが、微妙なニュアンスを直訳すれば
「私にはそれだけの価値がある」
となります。
私は受賞に値するだけの相当な努力をしてきた。だから私がもらっていいと思う、ということです。「私がもらって当然」という言葉だけ聞くと、「他の人ではなく私がもらうべき」と言っているかのように聞こえますがそうではないのです。
スピーチの中で彼女は「自分を信じることがやがて業績を生む。それは誰でも同じです。神様は、自分にそれだけの価値があると信じれば何でも成し遂げられる能力を、私達すべてに与えてくれました」- こう述べたあとじっと手元のオスカー像を見つめ、
" I deserve this ! Thank you ! "
とスピーチを締めくくり、会場の人々から大喝采を浴びたのでした。